正面の顔の描き方2
最初の正面の顔の描きかたではただ描く順番を思考したわけですが、デッサンの崩れは目鼻といった各パーツの配置の距離感がおかしいから違和感が生じるのでここではその距離感を測りやすくする「アタリ」のつけ方について考えてみます。
新たなアタリのつけた顔と従来の十字線で描いた顔の比較
まず、今回新しく考えたアタリのつけ方で描いた正面の顔と従来の十字線をアタリとして描いていた画像の比較してみます。
まず画像の左側が新たなアタリで描いてみたもの。右側が顔の中央に十字線を引いたよくあるアタリで書いたものです。そして下段の画像は紙の裏側から見るとデッサン崩れがよりハッキリするといわれているのでそれと同じ状態である左右反転したものです。
激しい差は感じませんが、どうも十字線のみのアタリの方だと私の場合は顔の輪郭がやや長めになる傾向があるようです。しかも十字線を引いていれば両目を描いたとき縦のアタリの線は目の間にあるはずなのにかなりずれていてアタリとして機能していないという状況だったので新しいアタリを考えてみた次第です。
新たなアタリを使用しての描き順
では新しいアタリの線はどんなものかというと下の画像の赤い線になります。
いっぺんに観ると、よく解らんって感じだと思いますが、まず一番目に描くのが目と鼻の間にある二等辺逆三角形っぽいアタリです。
まずこの逆三角形を描くことで何の距離感をとっているのかというと「両目の間隔、目と鼻との間隔、目そのものの長さ」を測るアタリになってます。左目と右目の間隔は多くの人の眼の大きさの長さとほぼ同じなのでこの逆三角形の上辺の部分は目の間隔を決めると共に眼の大きさもこの長さを参考に描くことが出来ます。そして下の角の部分には鼻の位置を決めるものです。この二等辺の長さを調整することによって顔の輪郭の長さそのものも調整できるんじゃないかなと思っています。二等辺をより長くすることで面長な人、正三角形に近づけることで丸顔な人・子供の輪郭などの書き分けが出来るのではないかと。
そして、次に描くアタリは鼻の部分から始まる正三角形に近い三角です。これは底辺のところが口元の位置を測るアタリなんですが大体口の長さは両瞳の内側までを目安としているので瞳そのものを目印としても構わないんですが、どうにも鼻の下が長くなってしまっているなんて場合にはこのアタリを描くのもそれなりに有効かと思います。
三番目のアタリは二番目のアタリをひっくり返したように、口の部分を辺に逆三角形に近い形を描きます。これはアゴの最も尖った部分の位置を決めるアタリです。しゃくれた人を描きたいとかでなければ正三角形に近い図形で大体の人は一致すると思います。
アゴのアタリを描いたら目のやや外側からあごのアタリへ向かってなだらかな曲線を描きます。片側の輪郭が描けたら同様に反対側も書きます。正直ここが一番難しいんだろうとは思うんですがこの輪郭のラインのアタリは見つけられませんでした。ほっぺの空間や口元の空間を意識して描くしかなかったです。
頬からアゴまでの輪郭が描けたら目の高さのところに両幅の長さを底辺とした正三角形に近いアタリを描きます。このあたりは頭部の長さを測るためでアタリを描いたら頬の輪郭と同じようにてっぺんの角に向かってなだらかな曲線を描いていきます。これで一通り終了となります。眉毛と耳には触れてませんが眉毛は目を描いた後に付け加えれば極端な崩れは起きないと思うのですが・・・・。耳に関しては正面の構図であれば上の部分を眉の高さあたりに、下は鼻のところまで描くのが一般的な長さに多い感じです。
実験:普段絵を描かない人がこの描きかたで正面の顔を描いてみると
今回の書き方は普段絵を描かない人でも効果はあるのかなぁという思いがよぎったので、普段絵を描かない方にこの手順で正面の顔を描いてもらいました。
まずは好きな描き順で描いたもらった絵です。右側のはそれを反転させたもの。大まかな描き順としては輪郭を描いて十字線のアタリを引いてという感じでした。正直もっとパーツの崩れが激しいのを描くのを期待していたのに配置そのものの崩れはあんまりないんですよね・・・。デッサン的には耳と口は小さいのですが絵柄としてはある範囲です。
続いて、私が考えたアタリのとり方で描いてもらったものです。
描き順のせいなのか俺の絵柄に影響されたのか、絵柄が根本的に変わってしまったので判断しにくいのですがどうなんでしょう?何か瞳孔は開いちゃってますけどねw頭の丸みはこっちのほうが滑らかかなぐらいですかね?後は口元が大きくなったので前の画像ではアゴが若干長く見えたのに対してそれはおさえられてもいます。
まぁ、結局はその人の空間感覚によってくるでしょうから、どの描き順が良い悪いなんていえないのですが普段描かない人が更に描き順を変えるなんて戸惑うでしょうし実際描くのに普段の描き順よりも時間はかかっていましたが、とりあえず意図したアタリの配置が出来れば配置のズレを悪化させるようなことはなさそうです。ただ、この描き方で描いてる段階でアタリの取り方自体が結構間違っていたりもして修正してたのでアタリの取り方自体をちゃんと頭に入っていないと効果は見込めないかもしれません。
関連ページ:
テキスト/正面の描き方
テキスト/復習:正面の描き方と眼力