メニューリストへ
漫画考察 漫画の描き方を考える

【興味を惹かせるタイトルの付け方】
たまたま見た広告のタイトルに興味を惹かれたことから、興味を持ってもらえるタイトル・題名とは何かを考えました。

ある本のタイトル属性分析

ことの発端は新聞を見ていたときに「先生、子リスたちがイタチを攻撃しています!(リンク先:アマゾン)」という本の広告が目に留まったことでした。新聞の広告自体はよく見てもその後のアクションや記憶に残っていることはほとんどないのになぜこれは目が留まり、このように興味を抱いたのかと。

内容的には動物たちが起こした珍しい事柄を「人間動物行動学」という視点をからめつつ、つづっているものです。

気になった第一要因としては私自身「動物好き」というのもあるのでしょうが、一番の興味を惹いた理由というのは本来コリスを捕食する立場であろうイタチが攻撃されているという逆の立場が最も大きいウエイトを占めているのだと思います。

これはタイトルに状況説明が行われていて、なおかつ通常無いシチュエーション設定されているわけですがそれでは常識範囲外の状況説明さえしていればいいのでしょうか?仮にお堅いタイトルをつけたとします。

「動物行動学にみるコリスがイタチを攻撃する理由」
字数的には差はさほどなく状況説明も通常ありえない感じを伝えていますが僕個人の興味としては薄れます。動物行動を調べてる人には興味は上がるかもしれません。

このように堅いタイトルは専門性の雰囲気を上げ、柔らかいタイトルは一般ユーザーの裾野を広げる印象です。では今回の本当のタイトルのほうはどこが柔らかいんでしょうか?堅い方は文章であり、「先生~」の方は【話し言葉】と捉えました。

では「先生、コリスがイタチを攻撃していました!」としてみましょう。
「していました・しています」過去形と現在形の違いになるわけですが「しています!」の方が躍動感を強く感じた次第です。正直、感じ方の個人差は大きいと思うのでそうでもないと思う人はいるでしょうが。

とりあえず方向性の一案として進めてみますが、たとえば週間連載の漫画で回想シーンを「数話に渡り、振り返る場面」があったとしたら、淡々と振り返るシーンを展開させるでしょうか?複数話展開させるほどのボリュームであるのならば、普通は過去の時系列に戻りその時系列に戻り、リアルタイムのような「現在進行形」の描き方になるはずです。本当に過去のまま語る場合は数話にわたる展開などではなく数コマで終わる状況説明・状況整理の「過去形」で行われるものが多いはずです。

過去を複数話展開させるということはそのシーンも重要で見せたい(魅せたい)から描かれるものです。それを適切に表現する方法が「現在進行形」タイプが適切ではないかと考えます。

実際、アマゾンに載せられているレビューにはその場にいたかのような雰囲気での語り口が多く、その場に入り込んだかのようなレビューが目立ちます。この本はこのような人たちを惹きこむ事に成功したといえるでしょう。

この雰囲気から察するに現在形は興味をあおり、過去形は”まとめ”であり冷静な状態で受け止められるのではないかと。読み手が簡潔に情報を得たいのであればまとめでいいのかもしれませんが面白く読むというのであればタイトルに限らず「ねぇねぇ、こんなことやってるよ」といった現在進行形の描写が有効なのかもしれません。このタイトルも「先生」の部分が呼びかけの要素となっています。

物語の始まりの構成「最中」との関連性

読み手に興味を惹かせる要素として共通する物語の効果的な出だしについて考えた「ストーリー制作 第一印象」では最中を描こうという方針を出してみましたがタイトルは読者の目に触れるという位置づけでは物語の出だしよりもさらに前になります。(読みきり漫画単体では最中を行った数ページ後にタイトル扉の構成もありますが)

タイトルと物語序章の構成に共通性はあるでしょうか?ストーリー制作 第一印象では【行動中の最中】と【結果を示す最中】という例を出してみたわけですが、今回目を惹いたタイトルは両方の属性すら持っているのではいかと考えます。

言葉尻だけを見れば「攻撃しています」という現在進行形は行動中の最中となるわけですがタイトルの役目が本(作品)に目を留まらせる、手にとらせるということであれば「リスがイタチを攻撃」という要素は襲われる過程を省いているので結果を示していることにもなります。もし言葉尻自体も結果を感じさせる過去形の文章だったら前述した現在進行形と過去形の話に戻りタイトルに勢いをなくす印象を与えるのかもしれません。

このようにタイトルで「行動中の最中・結果を示す最中」の両属性をもった表現が可能であるのならば作中の出だしでもきっと両方の属性を持った魅力的な出だしの作成が可能と思われます。タイトルと共に魅力的な出だしの作成に励んでみるのもよいのではないでしょうか。


関連ページ:ストーリー制作 第一印象

更新履歴

1月1日
ホームページリニューアル
1月1日
ホームページリニューアル
1月1日
ホームページリニューアル
Copyright © 2006 shibainu-fu-mi All Rights Reserved.