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漫画考察 漫画の描き方を考える

【起き上がる姿勢の基本属性】
起き上がるポーズを描く上で基本的となる姿勢や挙動について考えてみました。

起き上がるポーズ一例

ポーズ一例
まず、パッと思いつく起き上がる姿勢を深く考えずに複数描いたものです。
状況としては左から順に●スタンダードな起き上がり方、●ばったりと倒れた後に起き上がろうとする初動のポーズ、●踏ん張りをきかせた起き上がり方、●無気力で生気のないゾンビのような起き上がり、といったイメージです。

状態表現重視なら顔は上げ、上半身は起こす。

ただ、上の画像は説明をつけたので見てる方も「まぁ、そうかな」と思ってくれる人もいるかもしれませんが説明無しの場合『座り込む・へたり込む』といった印象にも見て取れるケースもありそうです。

確かに静止状態で見れば「起きる・座る」は似たモーションとは思いますので仕方ないのですが、「起きるは動作の最初」であり「座るは動作の終わり」とまったく逆の属性であるため表現をしていくものとしては描き分けができたほうが良いはずです。そこで色々といじってみたところ顔や上半身を起こすことで座り込む印象の回避がある程度解消できるのではないかと思い、各ポーズで「顔・上半身を起こしたバージョン」と「うつむき加減のバージョン」をGIFアニメーションにして比較しました。
起きるポーズ比較

比較する分にはやはり顔・体が起きているほうがそれっぽいですよね。以上の観点から起き上がる表現の基本属性としては『顔・体を起こす』を現時点の基本属性としてみます。

基本属性だけでは通用しない奥深さ

各ポーズ、起きる感じは確かに基本属性を守ることで上がったようですが、当初想定したイメージポーズとしては自然でしょうか?スタンダードな起き上がりはいいにしてもばったりと倒れた後の起き上がりと踏ん張りをきかせた起きあがりはこれだとサラっとしすぎて踏ん張りがきいてる様にも見えませんし、倒れこんだのはただ転んだ後、起き上がる感じで深いダメージを負った後の起き上がりなどの場合では不適当です。無気力の起き上がり方でも気持ち悪い感じの起き上がりといった異質な雰囲気を想定したものですが、これもただ元気なく起き上がる程度のレベル、あるいはひざまずいてる印象にも見えます。

このような軽い雰囲気ですとシリアスなシーンなどで重みのある起き上がる描写をしたいときには基本属性だけでは適切な描写にはなりません。そこで重力を感じつつ起き上がる雰囲気を伝えるような描き方も模索してみました。
ポーズ一例中腰
結論から言うと私の実力不足もあり現状、明確な方向性は見出せなかったのですが上半身がかがみ気味でも腰高にすることで起き上がる印象はある程度高められる傾向が見られるのではないかと。

まず、バッタリした後の起き上がりのアレンジは真横の構図自体が重みのある起き上がりを表現する構図としてふさわしくないんですが、同じ構図で比較しないと意味ないので腕は腕立て伏せのような形をして下半身はクラウチングスタートに似た感じにすることで腰高にしました。頭の位置は3段階で動かして連続でみると一番顔が起きてるのは下半身がクラウチングっぽいだけに前方向への意識が感じられます。ただちょっと異質で妖怪なんかにこんなポーズはあるかもしれませんね。真ん中のはまさしくクラウチングスタートに近いような印象で「静止感」が一番あるかもしれません。一番うつむいてるのはやはり一番重みを与える印象でしょうか。

続いて、ガニマタにして踏ん張りをきかせるような起き上がり方は「腰と顔が上方向」「手足の構えが下への重心」を意識した作りです。顔を上げるというのはアゴが上がり弱弱しい印象も受けるのですが、実際の漫画描写では表情に気合の入った顔を描くことによって弱弱しさと言うのはカバーできるのではないかと考えました。顔は上げても視線は下方向にすることで歌舞伎のような見得をはるポーズっぽくなるのではないかと。

最後がゾンビっぽい起き上がりですがこれが一番、上半身はかがみ、腰は上げるという方針を意識しただけでありそうな感じにはなりました。どうやら腰高な描写をすることによって起き上がる始点動作ではなくそこからの第2モーションの動作描写になっているようです。

とりあえず単純な動作描写であれば上半身と顔を上げればよさそうですが、雰囲気や重みを持たせる起き上がりに関しては前かがみかつ腰高をベースという方針も出してみたものの実際の表現していくまでとなると顔の表情であったり構図にも気を配る必要があるなど基本属性だけではない多くの要素がありそうではあります。何となくお題にした程度でしたが想像以上に深く感じたテーマでした。精進して追記できるテキストが書ければと思います。

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