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漫画考察 漫画の描き方を考える

【キャラクターの本能設定と展開】
「一定の条件が起こるとキャラクターは決まった行動をしてしまう」漫画のキャラ設定によくみうけられるものです。これらの設定はどのような部分に意味をこめられて設定されるものなのか考えてみました。

本能とは必ず起こす現象

今回のネタは「先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!」という本を読んでいて思いついたものなんですがその中に「鍵刺激」という言葉がありました。一定の状態や状況になったとき本能的に決まって起こす行動らしいです。 作品的なものに置き換えると満月見て(光を浴びて)狼男になったり、サイヤ人が大猿になるような状況でしょうか。これらの場合、変身にまで飛躍してますが。

このような鍵刺激を設定されたキャラクターたちはどのような動きと展開を見せるのでしょう? 前述の狼男は見たことがないのでなんともいえない部分はありますがホラー映画だったということで制御不能な行動自体が観客に恐怖させる演出かもしれませんし、人間的側面を加えるなら「なぜそうなってしまうんだ」という病人としての苦悩の描写もできます。

ドラゴンボールのサイヤ人が大猿に変身するのはピンチだったりすでに戦闘中だったりと「混乱」の状況中に発生させ、さらなる混乱というケースが多かったでしょうか?少なくとも「奥の手としての話を動かす打開策」としての色合いが強かったように思います。 上記二つに共通するのは理性の喪失、制御不能という部分になり、100%の結果が起きるという絶対要素になります。

フィクションでの絶対要素の扱い

では、本能である鍵行動以外での「絶対要素」はどのような扱いでしょうか。「印籠でみんながひれ伏す」「スペシウム光線で一発必中」などがあります。序盤で大盤振る舞いしてたら物語として台無しなので終盤にちょこっとしか出しません。こちらの場合理性の上でやってることなので本能とはまた違いますが『奥の手』的なポジションという意味ではドラゴンボールの大猿に共通します。

対して、頻発する絶対条件はというと「らんま1/2」という漫画では複数のキャラたちが水を浴びると男が女に、親父がパンダに、男が豚に、女が猫になったりする鍵刺激の設定がありました。 この場合、奥の手要素ではなくしばしばその立場を利用するような点もありましたが原則『悩みの種・足かせ的要素』といった扱いであり通常は物語の調味料として、節目では「この体質を治す」といった話の根幹を成すキーワードとして便利な手法だったといえます。さらに細かく抽出すると親父がパンダにという設定ではパンダ状態でフィギュアなどの商品展開もあり、通常ただの親父ではなかっただろうという展開でありキャラクター性そのものの確立といった部分も期待できます。

これらを見るにプラスの絶対要素は突発性としての利用、マイナスの絶対要素は慢性的な利用がスタンダードな構成といえます。

両要素を駆使する

多くの内容を詰め込むことのできない読みきり漫画ではこの絶対要素を序盤はマイナス要素として結末はプラスとして扱う処理も見受けられます。 絶対要素によってできなかったものができるようになったり、使えないものと思っていたら使える代物だったり、絶対要素を克服するのか利用できるようになるのかといった選択肢もあります。

これらをどう扱うかによって各自のセンスが試されるところではありますが少なくとも絶対要素の設定は「舞台設定が作れる」「キャラクター性の確立ができる」「話の展開を左右させられる」といったかなりの高機能を持っているのではないでしょうか。絶対要素をあまり意識しないで漫画を描いてきた人はこの機会に意識したお話を考えてみてはいかがでしょうか


関連テキスト:キャラクター作り

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