必要な道具
漫画用原稿用紙、ネーム用紙(ノート・コピー用紙など)、定規(35cm以上を推奨)、ペン軸とペン先(またはサインペン)、黒インクもしくは墨汁、ペン先を拭くもの(ティッシュ、いらない布など)、消しゴム、鉛筆、修正液、トーン、カッター、へらもしくはスプーン、ベタ用ペン(筆・筆ペン・太いサインペン)
作業1:プロット・ネーム作成
まずは、いきなり漫画原稿用紙など良い紙を使ってしまっては話を書き進めている内に気が変わって「やっぱこっちにしたい」なんて思ったときに今まで描いてきたものを消しゴムで全部消していくことになったら大変なので安い紙のほうに適当にコマ割りや大まかなキャラとセリフを描いていきます。
これを「ネーム」と呼び原稿用紙に鉛筆で描く下書きのさらなる下書きといったところです。ちなみにフキダシの中の文章もネームと呼ばれるので混同しないよう注意しましょう。
ネームもなかなか書き進めることができないと言う場合はストーリのあらすじやキャラクターの特徴設定などを書いたものから始め、それらの設定を参考にネームを描いていきます。この設定集のようなものが「プロット」と呼ばれます。
作業2:原稿用紙へ
ネームが描き終わったら原稿用紙に鉛筆で下書きを描きます。作業的には1ページ目から最終ページまで鉛筆で描ききって清書と呼べるペン入れを1ページ目から最終ページまで。消しゴムかけを1~最終、ベタ塗りを1~最終、トーン貼りを1~最終と言う感じです。
1枚ずつ下書きから完成まで仕上げても構いませんが工程ごとに手に持つものを切り替えるので効率が悪い可能性があります。ただ個人的な意見としては消しゴムかけのところはずっとだとかなり手に力がかかり「腱鞘炎になりやすいかも」と思ったりするのでここは各ページのペン入れが終わったらそのページの消しゴムかけを個人的にはやっていました。もし、真似る場合はインクが乾ききっていることを確認してからやるようにしてくださいね。
作業3:下書きの具体的内容
原稿用紙では第一工程である下書きはまずは「コマ割り」から入ります。
定規で線を引いていくわけですがコマとコマとの感覚は一定であり、横との間隔が狭く縦との感覚が広いというのがスタンダートなっています。
コマ幅は漫画原稿用紙にはメモリがついてるのでそれを目安にすれば容易ですが無地の画用紙・ケント紙では自分で上下に幅を鉛筆でチェックを入れてから線を引くことになるので手間がかかります。コマ幅の例外として時間経過を表現する一つとして幅を普段より多く空ける場合があります。
これ以降の順番はあまり見聞きしたことがないのですが私はネーム(フキダシ)→キャラクター→背景の順で書いています。
作業4:ペン入れの具体的内容
清書作業と呼べるペン入れですが、ペン先には色々種類があり、筆圧のかけ方によって太い線細い線が描けます。漫画で代表的といわれるものはGペンやスプーンペン、細い線用には丸ペン、スクールペンあたりです。当然個々によって使い勝手が違うので余裕があれば色々なペン先を試してみるのもよいでしょう。
どれも使い勝手が悪いとなればサインペンでも構いません。実際プロの方でもサインペン(製図ペン・ミリペン)を使用している人もいます。好みの太さのペンを3種類ぐらい買っておくといいでしょう。インクタイプは耐水性を買いましょう。なお、コマ割り用の線の太さとして0.8ミリのペンも買っておくとよいでしょう。カラス口という器具に墨・インクを入れて線を引くのもありますがやや高価な上、乾くのを待つのも面倒なのでサインペンで十分です。
ペン先で描く人の場合もインク・墨汁をつけるため乾くのに時間がかかりますので次のコマを描いてるときにまだ乾ききってないところに腕が触れてしまわないように注意しましょう。サインペンでも書いた直後は多少は湿っていますの同様の注意は必要です。ですのでペン入れの場合私は左利きなのでコマの進行どおりに右上のコマから描いていけるのですが右利きの人は左上から描いていく方がいいでしょう。
作業5:消しゴムかけ、ベタ塗り、修正
ペン入れが完了してインクも乾いているようなら消しゴムをかけて鉛筆の線を消していきます。漫画雑誌に投稿する場合はフキダシの中の文字は鉛筆のままです。
消しゴムをかけた後は髪の毛など黒い部分をベタ塗りします。私のベタ塗りは毛筆型の筆ペンを使っています。つけペン利用者は通常の筆でインクをつけて塗っても構いません。ただし割高に感じるかも。毛筆でないくにゃくにゃした安い筆ペンは私の場合、ムラになったり髪の毛のような細い部分は上手く塗れなくて、事前に狭いところはサインペンで塗りつぶす二度手間が必要だったので毛筆型の筆ペンに落ち着いたといった感じです。
修正はコマの枠より線が飛び出していたり、塗りつぶしが少しはみ出していたりなどの少々のミスがあるようでしたら修正液や修正テープで直します。ただし、トーンを貼る部分に汚れがある場合はボコっと膨らみ変な感じになるので諦めて描きなおすか、少量であればカッターや砂消しゴムでその部分を削り取りましょう。カッター・修正液でまかなえないようなミスは素直に描き直しましょう。ミスしたコマ部分を切り取り張り替える技法もありますが投稿作品の場合、ミスしたコマの部分を切り取って切り張りした修正などでは印象が悪くなります。
作業6:トーン貼り
最終工程のトーンとは裏面に粘着性のある透明のフィルムにドット状(点々)で形成された模様が描かれており余白では殺風景過ぎてベタでは暗過ぎるといった感じの部分に貼り付けていくものです。
よくある使い方としてはではブレザーの制服や茶髪の髪に貼り付けられていたりします。このトーンの種類には何百以上もの種類がありその種類は番号がふられているのでそれで区別していくのですがよく使われる番号は「61」と「63」が代表的なものです。
トーンの使用方法としては外装フィルムから取り出すと半透明の台紙にくっついたトーンが出てきますのでまだ台紙からはがさずにそのまま貼り付けたい部分の上にあてがい、貼る部分よりも一回り大きく切り取り台紙からはがし、原稿用紙の上に軽く貼り付け、原稿用紙まで切らないよう注意しながら貼りたい線に添って切っていきます。
なぞる線がなくて上手く切り取れない場合は一回り大きい段階でそのトーンに鉛筆でラインを描いておきその内側を切っていくといいです。鉛筆の上を切ってしまうと鉛筆の粒子で原稿が汚れてしまうので注意です。消しゴムで消そうものならトーンまではがれてグチャグチャになる可能性があります。
切り取りが完了したら空気が入らないようへらを使ってこすり紙に密着させます。へらがない場合はスプーンの背中を使い貼り付けます。後は、完成した原稿を思い切って投稿するか、身近な人に見てもらって客観的な感想を聞くことが上達の近道にもなります。
関連テキスト:初めての漫画技術